
顎関節症(がくかんせつしょう)は、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これらの症状が長期間続いたり、日常生活に支障をきたし始めたりした場合、受診や治療を先延ばしにすると、咀嚼機能や生活の質(QOL)に長期的な影響を及ぼす可能性があります。
顎関節症の臨床症状は非常に多様で、軽度で一時的な違和感から、持続する痛みや著しい機能障害まで幅広く認められます。これらは顎関節、咀嚼筋、および咀嚼機能に関わる関連組織の異常によって生じます。
初期の症状は目立ちにくく、ゆっくりと進行し、日常生活への影響も少ないことが多いため、多くの患者さんは通常どおりの生活を続け、初期症状の段階では医療機関を受診しない傾向があります。実際には、症状が数か月、あるいは数年にわたって続いた後に初めて受診するケースも少なくありません。
**顎関節症(Temporomandibular Disorders:TMD)**とは、咀嚼系に関連する一連の疾患の総称であり、主に顎関節、咀嚼筋、およびその周囲組織に生じる機能障害を指します。
顎関節症の治療を遅らせることによる影響
顎関節症の診察や治療を先延ばしにすると、どのような影響が生じるのでしょうか。以下は、長期間にわたる顎関節症でよくみられる代表的な問題です。
慢性的な痛み ― 長期間の顎関節症で最も多くみられる症状
痛みは顎関節症で最もよくみられる症状であり、多くの患者さんが受診する主な理由でもあります。初期には、硬いものや弾力のある食品を噛むとき、大きく口を開けるとき、あるいは精神的なストレスがかかったときにのみ痛みが現れることが一般的です。
しかし、症状が進行すると、痛みは関節そのものの障害だけが原因ではなくなり、慢性疼痛へと移行することがあります。その結果、仕事や学業、さらには生活の質(QOL)にも大きな影響を及ぼします。
回復が難しい関節損傷と変形性変化のリスク
顎関節は、線維性組織で構成された関節円板が上下の関節面の間に存在する、人体で唯一の関節です。炎症が長期間続いたり、関節に過度な機械的負荷がかかり続けたりすると、関節の構造そのものが変化する可能性があります。
病状が進行すると、次のような変化がみられることがあります。
- 関節軟骨の変性
- 下顎頭の扁平化
- 骨棘(こつきょく)の形成
- 関節裂隙の狭小化
- 顎関節の変形性関節症
これらの構造的変化は完全に回復することが難しく、長期的な顎機能の低下につながる可能性があります。

顎関節症の治療を遅らせると、咀嚼機能の低下をはじめとするさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。(イメージ画像)
顎の可動域制限と咀嚼機能の低下
顎の可動域制限は、顎関節症でよくみられる症状の一つであり、日常生活に直接的な影響を及ぼします。初期には、硬さや弾力のある食品を噛んだ際に顎が疲れやすくなったり、あくびをするときに大きく口を開けにくくなったり、顎の動きがぎこちないと感じたりする程度の場合があります。
しかし、適切な時期に治療を受けないまま放置すると、症状は徐々に悪化し、食事や会話、さらには口腔内の清掃にも支障をきたすようになることがあります。
その主な原因の一つは、**咀嚼筋の持続的な筋緊張(筋スパズム)**です。痛みが生じると、身体は自己防御反応として周囲の筋肉を収縮させます。この状態が長期間続くと、筋肉の柔軟性が低下し、下顎の可動域が狭くなることで顎の機能障害につながります。
長期間続く可能性のある二次的症状
顎関節は頭頸部の筋肉や周囲の組織と密接に関連しているため、顎関節症が長期間続くと、関節以外にもさまざまな症状が現れることがあります。
代表的な症状には、耳鳴り、耳の閉塞感や違和感、めまい、平衡感覚の低下、繰り返す頭痛、首や肩のこり・痛みなどがあります。
心理面および睡眠への影響
慢性的な痛みや機能障害が続くと、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも大きな影響を及ぼします。
患者さんによっては、不安感の持続、ストレス、イライラ、仕事や日常生活への意欲低下、不眠などの睡眠障害、慢性的な疲労、集中力の低下といった症状がみられることがあります。
現在行われている顎関節症の治療法
顎関節症(TMD)の治療は、正確な診断と原因の特定に基づいて行われます。多くの場合、まずは保存的治療が第一選択となります。
患者教育と生活習慣の改善
患者教育と生活習慣の見直しは、顎関節症治療の基本となります。
患者さんには、硬い食品や弾力のある食品を控えること、大きく口を開けすぎないこと、頬杖をつかないこと、爪を噛まないこと、片側だけで噛む習慣を避けることなどが推奨されます。
また、ストレスを適切に管理し、食いしばりや歯ぎしりなどの習慣を改善すること、片側だけで重いバッグを持たないこと、女性では長時間のハイヒール着用を控えることも、咀嚼器への負担軽減に役立ちます。
薬物療法
症状に応じて、医師は鎮痛薬、消炎鎮痛薬、筋弛緩薬、さらに慢性疼痛のコントロールや睡眠改善を目的とした薬剤を処方する場合があります。
理学療法・リハビリテーション
薬物療法と併せて、顎の運動療法、筋肉のストレッチ、マッサージ、温熱療法、低出力レーザー治療などの理学療法やリハビリテーションが行われることがあります。これらは痛みの軽減と顎機能の回復を目的としています。
スプリント(ナイトガード)療法
食いしばりや歯ぎしりが認められる患者さんには、**スプリント(ナイトガード)**が処方されることがあります。スプリントは顎関節への負担を軽減し、咀嚼筋をリラックスさせるとともに、咀嚼器の各組織を保護する役割を果たします。
保存的治療で十分な改善が得られない場合には、関節洗浄(関節腔洗浄術)や関節内注射などの低侵襲治療が検討されることがあります。
出典:Tuổi Trẻ


